Last Updated on 2025年8月12日 by Taichi
近所の公園を散歩していると、フェンスや斜面を覆い尽くす、生命力あふれる緑のカーテンを目にすることがあります。そのあまりの繁殖力から「グリーンモンスター」「厄介な雑草」と疎まれるその植物。その名も「葛(クズ)」

【葛】の繁殖力はスゴい

【葛】の大きな葉
葛の基礎知識と様々な恵み
葛は、単なる雑草ではなく、日本に深く根ざした有用な植物です。その強靭な生命力は、時に厄介な存在と見なされますが、その力強さこそが、私たちに多くの恵みをもたらしてくれました。
【葛】の基礎知識
* 英名:Kudzu
* 学名:Pueraria montana var. lobata
* 分類:マメ科のつる性多年草。秋の七草の一つ。
* 生態:日当たりの良い場所を好み、他の植物に巻きつきながら、夏には1日に30cm以上も成長することがある。
* 特徴:地中に太く長い塊根(かいこん)を張り巡らせ、この塊根に大量のデンプンを蓄えることで、地上部が枯れても容易に再生する。
根の利用(葛粉・葛根湯)
* 葛の根から採れるデンプンは「葛粉」として和菓子や料理のとろみ付けに利用される。
* 葛の根を乾燥させたものは「葛根(かっこん)」という生薬になり、風邪のひきはじめに効く漢方薬「葛根湯」の主成分となる。
葉の利用(飼料・お茶)
* 若葉は天ぷらやおひたしにして食用にできる。
* 乾燥させた葉は、家畜の飼料や、健康茶として利用される。

【葛】の葉
花の利用(葛の花エキス)
* 葛の花には、イソフラボンが豊富に含まれており、サプリメントの原料などにも活用されている。
茎の利用(葛布))
* 茎から丈夫な繊維が取れ、「葛布(くずふ)」という高級な織物の原料にもなる。
葛が「厄介な雑草」として問題視されるようになったのは、高度経済成長期以降、葛を刈り取って飼料にしたり、葛粉を採取したりといった人々の手が入らなくなったことが一因とされています。
公園で見かける、あの力強い緑のカーテンは、単なる邪魔者ではなく、長い年月をかけて私たちの文化と生活を支えてきた存在だったのです。今では、公園の葛を見る目が少し変わりました。「グリーンモンスター」の正体が、実は日本の宝だった。その事実に気づいた私は、少しだけ誇らしい気持ちで、そのたくましい緑を眺めています。
植物ファンTaichi
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